自炊日記

2000年4月30日〜5月6日

東鳴子温泉 高友旅館



・5月2日(火) 小雨
 今日はめしつかい2号が帰る。
 女王様は起きるやいなや、
「今回の酒は残らないなぁ。」
と、つぶやく。おいおい、ほとんど飲めないめしつかい2号ばかりか、僕やご隠居の倍近く呑んでいるはず。

 朝ご飯にチャーハンを作ろうと冷蔵庫から卵を取り出すとひびが入っている。よく見ると白身が凍っているではないか!仕方がないので卵はあきらめ女王様1号がみそ汁とバターガーリックライスを作る。いつもはみそ汁は殿の担当なのだが。

 めしつかい2号はひたすらカセットコンロや料理ばさみを磨いている。カセットコンロは16年間ほったらかしにしていたのだが、見違えるようになってしまった。つくづくだらだらが似合わない男だ。さらにめしつかい2号と女王様は凍った卵をむき始める。なんとか料理に使おうと言うことだ。

 僕とご隠居は風呂へ、しかし黒湯は掃除中だ。しかたなしに奥の小さな風呂に向かうがここは満員。さらに奥の風呂に行くとここも入ろうとしていた人がいた。引き返そうとするとその人は、
「あ、掃除ですか?」
「???」
どうも宿の人と間違えられたらしい。さもありなん。ご隠居は作務衣に手ぬぐい姿だ。笑いをこらえながら部屋に戻ろうとすると、たまたま途中にある家族風呂が空いていた。しかしここは洗い場がないので浸かるだけ。うー、頭が洗えない。

 一眠りしたあと、買い出しを兼ねてめしつかい2号を鳴子まで送る。
 もう鳴子も3度目なので慣れたもの。目指す土産物屋へ一直線。駅から共同浴場の滝之湯までの途中にある老舗・高亀へ。この店はなかなか変わった物がある。もちろん鳴子だけにコケシがあるのは当然だが、ここの木工品は少々値が張るがとてもセンスがよい。ナラ、ローズウッド、パドック材などで作られたペーパーウエイト類はここにしかない。リンゴ、柿、ミカンなどはへたの部分まで作り込まれ、サクランボは柄の部分も本物のよう。更に珍しいのは音符をかたどったウエイト。いちばん細かい作りなのはト音記号だ。これはおみやげには喜ばれるはず。チェロの形のオルゴールはとても素晴らしいが、ちょっと高くて手が出ない。
 めしつか2号は隣の店で土産のお菓子を買う。電車の時間まではまだ時間があるので無理やり買い出しにつきあわせる。この2日間ろくなものを食べさせていないのにまったく気の毒なことだ。
 まだ時間があるので駅前の喫茶店で休む。4人が頼んだ物は皆バラバラ。僕が昆布茶を頼んだら店の人に笑われた。なぜいかん!
 めしつかい2号を送りだし、何気なく駅前の土産物屋に入る。宿にはまともな箸が無いのでとりあえず5膳で350円の箸を手に取る。他にもなかなかいい箸があったのでこれを買いあさる。
 店の中を物色していると、木の枝をそのまま使った形の箸が目に留まる。焼き物の器に載っていたのだが、これがどうにも気にかかって仕方がない。ばら売りの物は無いかと探すが似たものはあっても同じ物がない。しかもばら売りのはどうにもセンスが悪い。店の人に聞いてみると、やはりセット物だそうだ。でも、どうしてもと言うなら箸だけ譲っても良いとのこと。店の人曰く、
「なあに、こっちの箸を代わりに載せておけば他のお客さんはわかりませんよ。」
おいおい、そう言う問題じゃないだろ。そこまで言われると買う気が失せる。
 そろそろ帰ろうかと思った時ふと後ろ髪を引かれたような気がして振り向くと、そこには小さな黒い漆塗りのぐい呑みが。雪月花の金が入っている。なんともいい味なので女王様とご隠居を呼ぶと二人とも気に入ったようだ。結局3人でひとつずつ買ってしまった。


 買い出しがいまいちだったので、宿のそばにあるというスーパーを探しに行く。
 どうにも見つからず、ひたすら歩いていくとバイパスのそばまで来てしまった。仕方なく引き返そうとすると、
あった!
パチンコ屋の影に隠れて見えなかったが、たしかにスーパーらしき店が。この辺はほとんどまともな野菜を売っていなかったのだがこの店の野菜は比較的活きがよい。ほうれん草と長ネギ、油麩を仕入れる。  宿に戻り、夕食の用意。今晩のメニューは麩入りニラ玉、常夜鍋
 酒は瓶覗きの残りが少ないので能登の白菊の封を切る。さらにご隠居の持ってきた阿賀錦・吟醸古酒もあける。古酒は3年物だそうだがあまり古酒らしくない。同じ蔵だが初日の「いのちがけ」のほうがうまい。
 さらに、昨日の残りの椎茸を使い、豚肉茄子炒めを作る。
 今夜もひたすら呑みまくり、3日目の夜は更けてゆく。


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