温泉日記(2003年5月)

2003年5月28日〜5月30日




・5月29日(木) 岩瀬湯本温泉・本家星野屋別館〜会津柳津温泉・ホテルかわち
 目を覚ますとまだ5時。もう外は明るい。川面は朝靄なのか雲なのか白く霞んでいる。朝食は8時ということなのでもう一眠りする。
 朝食はふたたび昨日の部屋。しかし今日は老夫婦の先客がある。数種類の山菜、温泉卵、川魚(何だろう?)の甘露煮、ハム、レタス、納豆。食後のデザートがちょっと変わっていた。ヨーグルトに蜂蜜。蜂蜜は宿の庭で養殖している蜂からとったものだそうだ。軽やかでさわやかな味わいの蜂蜜だった。

 ひと休みして9時に出発。精算すると一泊1万円(税別)とのこと。料理も良かったし、ひとりで泊まったにしては安い。
 今日はこのまま帰るかどこかでもう一泊するか決めていない。とりあえず只見の方に向かい、あとは気の向くまま。途中湯野上温泉駅の駐車場でメールをチェックすると会社からのメール。ちょっと気分の悪い内容だったので一気にこのまま帰る気が失せる。塔のへつり駅の東側にある林の中の道を通り、田島方面へ。田島で銀行を見つけて現金を補充。これで今晩は少々高いところでも安心。田島からは一気に只見を目指す。
 
 途中、駒止湿原の看板を発見。ちょうど水芭蕉の時期なのでちょっと寄り道。軽く考えていたのだがけっこう本格的なハイキングコースのようだ。駐車場は車でいっぱいになっている。
 ここは大谷地、白樺谷地、水無谷地の3つで構成されている。最初は大谷地だけで引き返すつもりだったのだがまさに水芭蕉の花盛り(Photo)、結局他の2つにも足をのばす。帽子も何もない無防備な状態。昨日にもまして天気は良くなり照りつける太陽で肌がちりちりする。そう言えばここへ来る道路の気温表示はすでに30度を超えていた。小さめの水芭蕉が密集していた大谷地にくらべ白樺谷地はやや乾燥した感じ、水芭蕉も少ない。湿原が終わり、鮮やかな若葉をつけた白樺林(Photo)を抜けると水無谷地。その名前からあまり期待していなかったのだが中間地点をすぎたあたりから大振りの水芭蕉(Photo)がびっしりと生えた湿原に出た。どこが水無湿原だ。ここが3つの中でもっとも水が豊かな感じがする。立派なカメラを三脚につけたおじさんたちがびっしりと木道に生えて(?)いる。今回はコンパクトカメラのSilviF2.8一台で来てしまったので大アップは撮れないが24mmの画角はなかなか面白い。フイルム何本も撮りまくる。
 
 1時間半ほどで一回りしてくるともう12時半。駐車場脇の売店で蕎麦でも食べようかと思ったら品切れでうどんしか無いという。なんだかもたれそうなので食べずに山を下りる。しかしなかなか手頃な店もなく、只見はまだまだ遠い。すっかり今晩は少し贅沢なところに泊まる気になっているのであまり昼食が遅いのは望ましくない。たまたまカバンに入っていたカロリーメイトで昼食の代わりにする。
 
 只見まで後少しと言うところでちょっと気になる宿を発見。とりあえず只見の様子を見てからと言うことで電話番号だけを控えて先を急ぐ。
 いざ、只見に着いてみると思い描いていたのとは違い、なんの変哲もない街。ちょっと気が抜けてしまい、少し北上して別の温泉を探す。しかし、なかなかこれと言った温泉がない。気が付くと2時をすぎているのでとりあえず只見に来る途中で見つけた宿に電話。しかし今日は満室だという。こんな平日に満室のはずがない。おそらくひとり旅が嫌われたのだろう。こういう宿は願い下げだ。しかしすっかり当てがはずれてしまった。この辺には大きな温泉地はない。湯野上温泉まで戻るか。しかし湯野上温泉までたどり着くのは4時ごろになってしまう。さすがにその時間で泊まれるかどうかは不安だ。ネットで電話番号を調べようにも圏外で全くだめ。iモードで予約を試みるが1泊4万円というとんでもないところしか見つからない。とりあえず湯野上に向かいつつ、最悪、温泉でなくとも良さそうなところがあればそこに当たるつもり。
 
 会津川口から国道400号を田島方面へ向かうと「沼尻湖レイクサイドホテル」の看板が。ん、これは何とかなるかも。しかも若い女の子が泊まっていそうな...なんて妄想しながらハンドルを左に切る。現れたのはフェアリーなんたらというメルヘンチックな看板。しかもまったく人気がない。どうもここはスキーシーズンの観光地のようだ。レイクサイドホテルはいっこうに見あたらない。気が付くと沼尻湖を半周していた。これはいけない。これではもうまともな時間には湯野上には到達できない。ちょっと憂鬱な気分になりながら気を落ち着けて車を停め地図を検討する。ふと気が付くともうここはかつて来たことがある柳津温泉まですぐ。あそこなら大きめの宿の何軒か会ったのでなんとかなるかもしれない。再度国道252に戻り、柳津を目指して北上する。
 
 柳津に入り、「ホテルかわち」と言う宿の外観がなんとなく気になり車を停める。玄関を入るとまったく人気がない。2〜3度声をかけてやっと人が出てきた。フロントの人の頼りない様子に一抹の不安を覚えながら客が少ない様子であっさりと宿泊OK。値段は1万円〜1万5千円とのこと。食事の量は少なくて良いから眺めの良い部屋と伝えると、部屋は皆眺めがよいので1万円の部屋でよいでしょうとの商売っけの無い返事。部屋の用意をするまで15分ほど待たされてから部屋に案内される。車の冷蔵庫に酒を忘れてきてしまったが今更一升瓶を抱えてフロントの前を通る訳にもいかずあきらめる。
 昨日の宿に比べて部屋は新しく広い。窓の外はゆったりとした只見川の流れ。ちょっとフロントは頼りないがなかなか良い感じ。昼間歩きまくったので汗で体がべとべと。早速風呂に向かう。
 風呂はゆったりとした内湯と丸い露天風呂。独占状態で思いっきり足をのばす。無色透明だがちょっとしょっぱいので食塩泉か。露天風呂は夜もなかなか良さそうな雰囲気なのであとでまた来よう。
 
 部屋に戻るとのどが渇いたので冷蔵庫にあった地ビールの赤べこビールを飲む。赤くてちょっと変わったコクのあるビールだ。黒ビールのような物かと思っていたがそれよりは軽く、ややフルーティー。昼をちゃんと食べていなかったので一気に酔っぱらう。やばいと思い、お茶請けに置いてあった漬け物をつまむがこれがまたうまい。ついつい後を引いてしまう。ますますのどが渇く。
 夕食は部屋食。話し好きの人の良さそうなおばさんが配膳してくれる。次々にテーブルに並ぶ料理を見て唖然。ホントに1万円か?ものすごい品数。鰻の蒲焼き、エビの塩焼き、岩魚の塩焼き、大根の煮物、山菜、ホタテの貝柱のマリネ、刺身(中トロ、甘エビ、ハマチ)、馬刺、釜飯。そして禁断の(?)エビフライ千キャベツ添え。釜飯以外がみな冷めてしまっているのと組み合わせに脈絡が無いのがちょっとどうかなと言う気もするが味は悪くない。それだけで唖然としていたら更に茶碗蒸しとホタテの焼き物が登場。部屋の値段を間違えたのか?
 酒を飲みつつゆっくりと食べていると更に料理が追加。こんどはよもぎ麺。これは浄土平で売っているよもぎ麺よりはやや落ちる。もう無いだろうと思って油断しているとさらにデザートのグループフルーツゼリー。さすがにもう食べられない。結局完食は出来ず、連絡して下げてもらう。
 
 昼間直射日光を浴びたせいかなんだかちょっと熱っぽい。顔や腕がひりひりする。なんだかのどが渇くなぁと思ったとたん、さっきのおばさんが冷たい水をポットで持ってきてくれた。超能力でもあるのだろうか?思わず何倍も飲んでしまう。あぁ、生き返る。
 さすがに疲れが出てきたのか足がちょっとだるい。ちょっと酔い気味で不安だがもう一風呂浴びることにする。思った通り露天風呂はなかなかの雰囲気。木々の間からもうすぐシーズンも終わる木星が見える。
 今日は何だか寝付かれない。仕方なしに冷蔵庫から冷酒を取り出し一気にあおってもう一度床についた。
 

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