温泉日記(2003年5月)

2003年5月28日〜5月30日




星日記より続く
・5月28日(水) 岩瀬湯本温泉・本家星野屋別館
 天候の悪さに鎌沼へ登るのをあきらめ山を下り始めると何という皮肉、みるみるうちに雲が晴れてくる。目に刺さるような新緑、昨日までは曇っていたためにこれほどまでに鮮やかな緑だったとは。特に白樺は透明感のある緑で青空に映える。思わず車を停めて写真撮影。崖にはツツジ(○○ツツジだと聞いたのだが忘れてしまった。植物の名前は小学校の頃から弱い)も咲いていて良いアクセントになっている。

 どんどん日差しが強くなり、暑くなってくる。窓を開けると風が気持ち良い。色々考えて、昔通りかかった岩瀬湯本温泉を目指す。本来なら磐越道に乗り、東北道の郡山南インターで降りると比較的近いのだが急ぐ旅では無い。猪苗代湖の西側を回り、国道294経由で羽鳥湖方面に向かうことにする。
 49号から294号に入る手前で昼食。夕食のために軽くすませようとして昨日に続いて蕎麦屋に入る。広い店内、客がたくさんいるのに注文を取っているのはおばさんがひとり。これが何だか手際が悪く失礼な態度。ぜんぜん客をさばけない。
 しばらく待たされてからやっと「冷やし山かけそば」を注文。普通のざるの山かけそばと思って注文したのだが出てきた物を見てびっくり、冷やし中華のような浅い器にたれに浸かって出てきた蕎麦にはたっぷりと氷が入っている。はっきり言って僕は冷たい食べ物は得意でない。胃腸の調子が悪くなってしまうのだ。心配したとおり軽くすませるはずの昼食がずっしりと胃にもたれてしまった。

 気を取り直して294を南下。294は何度も走った道だがやたらとややこしい道だ。とにかくまっすぐ走れず何度も交差点を曲がらなければならない。時にはもっと若い番号の国道と共有していたりして標識自体が訳がわからないことがある。もっとちゃんと地図を見てから走り始めれば良かったのだが走り慣れていることもあり、ほとんどルートを頭に入れず走り始めてしまった。
 何度か目の分岐で羽鳥という標識を見た。ああ、ここだ、と思わず右折。そのとたん何となくこれは違う道だと言うことに気づく。止まって地図を確かめようと思ったのだがこういうときに限って後から何台も車が付いてくる。おまけに信号もない。結局やっと地図を見られたのは20分ほど走ってから。なんと遙か手前で右折してしまったことがわかった。このコースはかなり険しそうな山越えの道、昔は良くこういう道を走ったものだが今日は望遠鏡やバッテリーなど振動に弱い物がたくさん載っている。あまりひどい未舗装路だとまずい。びくびくしながら走っていたが道は細い物の思いのほか路面は良く、未舗装は一部だけだった。それよりもここは本当の緑のトンネル状態。あまりの見事さに時折車を停めて外に出る。
 
 道を間違えた割にはそれほどのタイムロスもなく岩瀬湯本温泉に到着。さて、何処に泊まろうかと思い旅館街の方に入っていくが道が狭く車を停める余地がない。思わず通り抜けてしまう。温泉街を抜けたあたりに建物は見えないもののやや立派な門構えの宿を発見、「本家星野屋別館」とある。しかしその高そうな雰囲気に呑まれ思わず通り過ぎてしまう。もう一軒ぐらい無いかと思ったが結局そこが最後だった。まだ時間が早いのでインターネットでチェックしようと思いH”の入りそうな場所を探して走る。しかしこんな場所でPHSが入るはずもなく、結局湯野上温泉まで走ってしまった。

 湯野上温泉の駅前には広い駐車場がある。そこに車を停め、インターネットに接続。「星野屋別館」で検索すると星野屋別館自身のホームページを発見した。なんだか重いページでなかなか料金が見つからなかったものの(その後料金を書いてあるページを発見した)、そう無茶な値段ではなさそうなので電話をしてみた。普通、ひとり旅は嫌われるのだがとても気持ち良く対応してくれたため、うっかり値段も聞かずに予約してしまった。いちおう4時〜5時ぐらいに宿に入ると告げ電話を切る。

 時計を見るとまだ2時前、湯野上温泉で一風呂浴びても良いのだがここは何度か入っているので楽しみは岩瀬湯本温泉まで取っておく。車で10分ほどの所に大内宿という江戸時代の宿場を再現している所があり、何度か訪れそこそこ気に入っていたので時間つぶしに行って見ることにする。
 平日と言うことでそれほど人はいないだろうと思ったのだが結構観光客が多い。それも年配の人ばかりだ。宿場町の一角は車両進入禁止となっており、手前の駐車場に車を停める。未舗装の広い道を挟んで昔ながらの作りの家が建ち並ぶ。ほとんどが土産物屋や食事処となっている。何軒かは民宿を経営していて蔵作りの部屋に泊まることが出来る。道と建物の間には水路が流れていてそこで飲み物を冷やしたりしている。店に並んでいる物は以前来たときよりも心なしか俗化しているようだ。
 宿場を抜けた先に古い神社があり、急峻な石段を登るとちょっとした展望台になっている。そこからは宿場町を一望でき、街道に面した部分だけが古い作りになっていて、裏は普通の民家になっているのが丸見えでちょっと面白い。
 食事をするわけでもなく一人きりではそれほど時間はつぶせない。一時間もしないうちに大内宿を出る。国道まで下る途中の道はなかなか緑がきれいな道だ。途中車を停められるところが何カ所かあるのでそこで車を停めて一眠り。Palmの目覚ましを3時半にセットし座席を倒す。この気楽さがひとり旅の良いところ。ちょっと寂しい気もするが。
 
 アラームの音に目を覚まし、岩瀬湯本温泉を目指す。星野屋別館は門構えは立派だったが門をくぐってびっくり。なんだか湯治宿のようなあっさりとした建物。案内された部屋は8畳の小さい部屋。トイレも付いているがその広さはなんと半畳。座ると膝が壁に当たってしまう。これは高いはずもない。ある意味安心する。
 窓の下はまるでダムのようにどちらに向かって流れているかさえわからないほど流れがゆったりした川。川の畔には紅葉の木が植えられており紅葉の季節には眺めが良さそうだ。とりあえず一風呂。風呂は半地下の内湯。ガラス張りの大きな窓の外は部屋から見えた紅葉。紅葉の頃、ライトアップされた紅葉を見ながら風呂に入るのは格別だろう。お湯は無色透明。独り占め状態だったがあとからひとり年配の人が入ってきた。

 風呂から上がり夕食までの間はTVを見ながらのんびり。PHSは入らないのでネットに接続できない。
 夕食は1階の食堂。ここはちょっと小じゃれた感じの洋間で僕ひとりだけ。他の客は別の部屋で食事のようだ。大きな窓の外は例の紅葉でちょうど僕の部屋と風呂の間に位置関係になるようだ。たぶん女の子と二人で来ていれば良いだろうなぁとちょっぴり妄想。
 食事は里芋の煮物、山菜の天ぷら、アスパラの白和え(ゴマ風味の白いクリーム状のものはいったい何だろう)、岩魚の塩焼き、牛肉と野菜の鍋焼き、舞茸の土瓶蒸し、蕎麦等けっこうな品数。みそ汁は白味噌仕立ての上品な物。味の濃いめな東北地方にあって、ここはかなりの薄味だ。どこかで修行してきたのだろうか。お酒も2本頼みほろ酔いになったところで部屋に引き上げる。
 部屋に戻ると布団が敷いてあった。夕べあまり寝ていないので早々と床につく。

2日目へ続く



2日目
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