しし座流星群日記

1999年11月17日〜11月18日

静岡県 伊豆・爪木崎


・11月18日(木)
 何だかまぶしくて目を覚ます。
「ああ、いい天気だなあ。」
ん?いい天気?あれ、雨は?雲は?
 あわてて車の外へ出ると、空はきれいに晴れ上がっている。
 何ということだ。結局肝心な時だけ天気が悪かったのか。東京のほうはずっと晴れてたりして。結局昨日は3個しか流れ星を見られなかった。
 みんなを起こして片付けを始める。
 車の中はいまだに酒臭い。返すまでに臭いを抜かなくては。僕の車の方はシュラフや望遠鏡が散乱している。 1時間近くかかってやっと出発できる体制がととのう。駐車場の奥からは伊豆諸島がきれいに見える。左手のほうから大島、利島、新島、式根島。しばしぼーっと眺める。
 なにはなくともメシ。結局昨日と同じすかいらーくに入る。中途半端な時間なのでガラガラだ。昔はもっとメニューが豊富だった気がするが、あまり選択子が無いので2食連続だときつい。
 食事を終えるとこんどは温泉だ。サンシップ今井浜という町営の温泉施設に向かう。去年行った同じ町営の踊り子温泉会館はけっこう良い所だったのでちょっと期待。海が見える展望風呂と露天風呂があるようだ。 国道135号線から右に曲るとほとんどすれ違えないような細い道。たどりついたところは踊り子温泉会館とは似ても似つかぬ寂れた小さな建物。一抹の不安を覚える。
 不安的中。展望風呂は7~8人がやっとの小さい湯舟。しかもボディーソープはあるがシャンプーが無い。踊り子温泉会館にはどちらもあったのだが。ただ眺めは抜群。海のむこうには利島が見える。お湯は完全に無色透明。温度も適温だ。じいやが自販機で買ったシャンプーを3人で使い、しばしのんびり。
 あまり乗り気でないめしつかい2号を後目に僕とじいやは露天風呂へ。結局めしつかい2号も付いて来る。 露天風呂は内湯よりもさらに小さい。一人先客もいる。仕事をさぼってここに来ている風のおじさんとしばし温泉談義。ここは内湯よりもさらに眺めが良い。伊豆らしい真っ青な海に釣り舟がたくさん浮かんでいる。岸壁にあるので湯舟から糸を垂らせばこの場で釣りができそうだ。しばらくすると隣の女湯から女王様6号の声が聞こえて来る。女湯と男湯の仕切にはまったくすき間が無いので幸か不孝か覗き見はできない。 風呂から上がり、休憩室(と言ってもTVも何も無いただの畳敷きのスペース)で休んでいると女王様見習い1号が女湯(内湯のほう)から出て来る。
「あれ?露天には行かなかったの?」
「うん。ちょっと気分が悪くて。」
昨日は車酔いだったし少し心配だ。
 踊り子温泉会館のほうには休憩室にマッサージ器があったのだがここにあるのは体脂肪率計、健康診断機、クレーン(おもちゃを取るやつ。何て言ったっけ?)、そして何故かプリクラ。いったい誰がこんな所でプリクラを撮るというのだ。
 物好きなじいやが健康診断機に百円玉を入れている。出てきたのはレシートに印字された肌のPH値と脈拍数、そうして「あなたは健康体です」というコメントだけ。おいおい、これで100円は高くないかい?
 やがて女王様たちが出てきたので、外で記念撮影をして帰路につく。
 長時間の車での道のりがちょっと不安な女王様見習い1号は電車で帰ることになった。最も近い特急停車駅の稲取まで車で送る。またしても僕の車は女王様だけになる。
 熱海までは1時間強。途中どうも道を間違えたような気がしたが、なんとか熱海市街へ入る。わかりにくい案内板のおかげで駅前駐車場へ行けず、駅の裏側をぐるぐるまわってしまった。その間に気が付けば後続のレンタカー組とはぐれてしまう。やっとの思いで駐車場へたどり着いたところでめしつかい2号から電話が入る。もうレンタカーは返してしまったらしい。どうやら酒臭いのには気が付かれなかったようだ。
 ここで女王様2号、女王様6号、じいやとはお別れだ。おみやげをあさったあとみんなでお見送り。女王様2号は神戸へ帰還、女王様6号はなんとこれから大阪へ出張、じいやは小田原から定期があるので電車で帰還だ。おみやげにはわさび海苔、わさび漬けを買う。伊豆に来たらやはりこれだ。
 朝兼昼食が早かったので、いい加減におなかが空いてきた。食事できるところを探すが、どうも熱海にはまともな食堂が無い。みんな旅館で食べるからだろうか。あきらめて道中で食べることにする。
 入りたい店があったら言ってくれと頼んでおいたのだが、女王様方からはまったく声がない。お疲れのようだ。結局、ずるずると小田原まで来てしまった。あきらめてファミレスを探す。
 やっとの思いで見つけたファミレスに入ろうとしたら駐車場の入り口で迎車のタクシーが通せんぼ。うちの車に気が付きなんとか道を空けようとするが、切り返せど切り返せど同じ経路をたどるばかりでいっこうに道があかない。おいおい、あんたほんとにプロ?
 やっと通り抜けて店にはいると店員がさっぱり要領を得ない。どうやら禁煙席が満席らしい。なんとか席に通してもらい、注文をする。ところがこの店員も使えない。さんざんもたもたしたあげく注文を取りこぼす。ちゃんと復唱するのを聞いてて良かった。
 待てども待てども料理はやってこない。20分ぐらい過ぎてようやく料理が届く。女王様1号が注文したカレーは何だか冷めている。僕が頼んだ豚肉生姜焼きを持ってきた店員は、
「ぶ、ぶたにく...しょうがやきをたのまれたおきゃくさまはどちらですか?」
おいおい、敬語になってないぞ。
 この豚肉生姜焼きがすごい。肉に衣が付いている。これじゃまるでポークジンジャーソテー・しょうゆソースだ。嫌な予感がしたが、食べてみるとなんだか豚肉みそ漬けのような妙な食感。しまいには胸焼けがしてきた。同じ物を頼んだ女王様3号もどんどん不機嫌になってくる。
 食べ終わったがちっとも下げに来ない。食後に頼んでおいた飲み物もさっぱり来ない。しびれを切らしたころにやっと飲み物が到着。僕が緑茶、女王様1号とめしつかい2号が紅茶、女王様3号はコーヒーだ。ところが女王様1号と僕の皿だけ下げて、女王様3号とめしつかい2号の皿はほったらかし。飲み物も中途半端なところに置いて言ってしまった。追い打ちをかけるように女王様1号が叫ぶ。
「なんだこりゃ!」
女王様1号がティーカップに注いだ物は緑色。僕の前のポットを開けてみたら中身は紅茶。カップは正しく置いたもののポットを入れ違えてしまったようだ。たまりかねて女王様1号が因縁を付ける。ついでに残った皿も下げてもらう。
 やっと一息ついて気が付くと女王様の前にはカレーの容器が、めしつかい2号の前にはラー油と一味唐辛子が置き去りにされている。頭に来てめしつかい2号はラー油と一味唐辛子をメニューの裏に隠してしまった。カレーの容器はあとで僕の緑茶の盆にでものせておくとしよう。
 お金を集め、女王様3号がレジへ向かう。が、待てども待てどもレジ打ちが終わらない。まったくなにからなにまでとろいファミレスだ。もっとしっかり教育せい!
 小田原からは西湘バイパス、横浜新道経由で首都高神奈川線へ。ベイブリッジ経由で湾岸へはいる。あまりに単調な道にだんだん眠くなってくる。やっとの思いで女王様1号のお住まいへ。続いて近所の女王様3号を送り届ける。最後のめしつかい2号はちょっと遠いがなんとかたどり着き、一人で埼玉への帰路に就く。
 空は完璧に晴れている。
「あー、今晩は見られるかもしれないなぁ」
と、思いつつ家へたどり着く。
 またどこかへ見に行こうかなと迷いながらネットにアクセス。
「ヨーロッパで3000個/時間の流星雨!」
げげ!これで今晩の流星雨の可能性は消えた。そこそこの流星は見られるかもしれないが、どんどん眠くなってくる。
 メールをチェックすると会社から恐ろしいメールが入っている。
「12月20日から海外出張して欲しい」
おいおい、12月25日はライブだぞ!
 すっかり嫌になって寝ることにする。

・11月19日(金)・後日談
 目が覚めてネットにアクセスする。
 思わず目が点に。
「しし座流星群、一日遅れで日本でも活発な活動。1時間あたり200個の流星ショー。」
 絶句!


しし座流星群日記・初日
星のページ
Home