2001年8月24日〜8月27日
福島県 浄土平
いつも山に来ると早く目を覚ます。時計を見るとまだ5時。ちょうど夜が明けた頃だ。朝食は6時なのでまだ時間があるがどうももう眠れそうにない。他の人を起こさぬようにそっと階段を降り窓の外を見るとなんと青空が広がっている。しまった。夜明けまで粘れば晴れたのか。
外に出てみると快晴とは言い難い。まだ8月なのに秋のようなすじ雲が空一杯に広がっている。朝靄の中、小舎の周辺を少しお散歩。少し写真でも撮ろうかと思い、今回持ってきたたくさんの新兵器のひとつ、一眼レフタイプのデジカメ、S-1pro(職場から借りてきたのだ)を車から引っ張り出す。ところが電源を入れてもウンともスンとも言わない。電池切れかと思い、4本使いの単三型ニッケル水素電池を取り替えてみたがやはりだめ。そう言えば、このカメラはデジカメ部とカメラ部は別電源だったことを思い出し、ニッケル水素電池は元に戻し、カメラ部のリチウム電池を新品に交換してみる。
ところがこんどは液晶にERROR!の表示。結局デジカメ部の電池の方も無くなっていたことがわかりそちらも交換してなんとか撮影できるようになった。また充電せねば。
そんなことをしているうちにもう朝食の時間。朝から豪華な食事を食べて、また昼まで就寝。今日は昼ごろMidnight Telephoneの相棒、ぞーさんの一家が来ることになっている。子供を4人連れてくるのでにぎやかになる。それまで寝て置かねば。
しかしどうも寝付かれない。あきらめて11時頃起き出す。今朝写真を撮る時間がなかったので少し歩きながら何枚か写真を撮る。
11時半ごろ戻ると女王様が起きていた。山小屋では風呂に入れないので毎日近くの高湯温泉に入りに行く。明日は人数が増えるので風呂の大きい花月ハイランドホテルに行くしかない。今日は今のところ3人だけなので女将の笑顔が素敵な吾妻屋へ行くことにする。吾妻屋は今年から14時までしか風呂に入れないのでさっさと昼食を済ませて行くことにする。
昼食は例によって浄土平のレストハウス。今日はまだ体力があるので焼肉ピラフを注文。いつも書いているがここのレストハウスは観光地にしてはかなり食べられる。しかしゆっくりはしていられない。さっさと高湯温泉へ行かねば。
高湯温泉は磐梯吾妻スカイラインを福島側に降りた少し先にある。このスカイラインは入るときに料金を払うのだが料金は1570円。一旦出てしまうと帰りにまた払わねばならない。少し歩くがスカイライン出口手前の駐車場に車を停めて歩いて行くことにする。
花月ハイランドホテルのほうは出口から近いのだが吾妻屋までは10分近く歩く。少し汗ばんでくる。やっと吾妻屋へたどり着いたところなんと「本日は終了しました」の張り紙が!
な、何だとぉ?
仕方無しに花月ハイランドホテルまで引き返すことにするが、なんだか足に力が入らない。とほほ。
花月ハイランドホテルはいつもかなり混んでいるのだがまだ時間が早いせい、今日は空いている。ここには露天風呂付きの「石の湯」と湯船の大きな「木の湯」の二つの浴場がある。今日はまず木の湯へ。女王様たちは当然女湯へ行くので僕は一人男湯へ。湯船につかっているのは3人ぐらい。ガラガラだ。洗い場の広いこちらで体と頭を洗い、石の湯へ。こちらは内湯には目もくれず露天風呂へ。温泉らしい白濁したお湯でゆったり。
風呂から上がり、ポカリスエットを飲んで休んでいると女王様たちが戻ってきた。再び浄土平を目指して登っていくと何だか雲行きが怪しい。曇り女Nさんの本領発揮か。昨日ほどではないが、やはり不動沢橋は向こう側までよく見えない。途中は何カ所か景色のいい場所があるのだがまったくだめ。何だかなぁ。
小舎に戻ったのは15時頃。てっきりもうぞーさん一家が到着しているかと思いきや、まだのようだ。夕食までまた睡眠。
うとうとしていると話し声。ぞーさんたちかと思い降りてみるとS氏とN氏だった。予定よりも少し早い。
ぞーさん一家が到着したのはそれから30分ほどした頃。まだ1歳半の末娘がしっかり歩いているのにはびっくり。なんだか将来美人になりそうだ。
今日の夕食はクリームシチュー。初めてではないが昨日に続き珍しいメニュー。今回はあまりこの小舎らしいメニューにはお目にかかっていない。
夕食後、空を見るとそこそこ雲が薄くなっている。今夜は早めに浄土平の駐車場に行ってセッティング&宴会の準備だ。
昨日と同じでなかなかセッティングに使える星が出てこないが、月が沈まないうちに月をみんなに見せたい。とりあえず低倍率なら何とかなるだろうと言うことで電源を入れずに手動で月を導入。時々望遠鏡の方向を修正しながらみんなに見せる。雲に阻まれながらも今日は結構月がよく見える。ぞーさんと次男、三男も到着。しばらく月を堪能。
やがて月も沈み、ちらほらと他の星も見えてきたので大急ぎで白鳥座のアルタイルを使って望遠鏡をセッティング。こと座のリング星雲M57やこぎつね座のアレイ星雲M27などを観望。口径が25cmもあるだけ有り、さすがに去年まで使っていた口径18cmよりはるかによく見える。だいぶ雲が晴れてきたのでいよいよ新兵器のビデオカメラをセットしようと思い、カメラとPowerBook、そしてビデオキャプチャーボックスを取り出す。
カメラとボックスを繋ぎ、PowerBookを立ち上げたところでそれは起こった。
Mac特有のアイコンパレードが終わるか終わらないかのうちに画面が突然暗転。あれ?どうしたんだろうと思ったがなんだかハードディスクがまだ動いている音がする。再起動しようとするが反応がない。仕方無しにバッテリーをはずしてリセット。再び起動すると今度は無事立ち上がった。ところがPowerBookを持ち上げたとたん再び暗転。結局何度繰り返しても同じ。とうとうあきらめて片づけることにする。やれやれ、Macは新しいマシンに乗り換えると嫉妬するというのは本当だったのか。現在のメインマシンのiBookのほうも万全ではないので困ったものだ。
そんなこんなでじたばたしているうちに何だか曇ってしまった。しかたなし(?)に宴会の準備。今日の酒は郷乃誉とぞーさんが買ってきた名倉山。郷乃誉はすでに昨日一緒だったご夫婦と結構飲んでしまっていたので1/3ぐらいしか残っていない。名倉山を開けてみたがどうも芳しくない。仕方無しにもう一本持ってきた奥能登の白菊を開ける。
そうこうしているうちに夜も更けぞーさんたちは小舎に戻っていった。
その後も晴れたり曇ったり。晴れているときも完全に晴れている感じではなく、薄雲を通した感じだ。以前にも来ているS氏は不満顔。そうこうしているうちにみんなシュラフにもぐって寝てしまう。
僕も少しうとうとしかけたが、東の空から明るい星が昇っているのに気が付く。望遠鏡を向けてみると土星だ。さっそくみんなを起こす。こんなに天気がはっきりしない割には土星はかなりよく見える。みんなも満足した様子。やがて木星も昇ってきたがこちらは高度が低いこともありいまいち。かろうじて縞が2本。
またまた雲が厚くなってきたのでみんなは完全に眠り込む。僕も半分寝たような状態だったが3時すぎたころふと気付くと東の空だけすっきりと晴れている。あわてて望遠鏡を再起動する。ちょうどオリオン座の大星雲が吾妻小富士の上に昇ってきている。望遠鏡を向けると視野一杯にひろがる大星雲。鳥が大きく羽を広げたような姿は口径の大きな望遠鏡ならでは。やっとここまで来た甲斐があった。他のメンバーはまったく目を覚ましそうにないのでそのままにしばらく覗いていたがやがて空が白み始めた。夜明けまで少し仮眠を取る。
目が覚めたのは4時半頃。望遠鏡を撤去し、みんなを起こす。
下界には雲が広がりうまくすると雲海に昇る朝日が見えそうなのでみんなを駐車場の東の端まで連れて行く。
S氏、N氏と一緒にしばらく見ていたがどうも雲が高くていっこうに朝日が見えてこない。女王様とNさんはいつの間にか車に戻り寝ている。しかたないので僕たちも小舎に戻ることにする。そういえば今夜はひとつも流れ星を見ていない。