星日記

2001年7月20日〜7月22日

福島県 浄土平


・7月22日(日)
 目が覚めたときはすでに金星以外は見えなくなっていた。
 東の空には遠くに厚い雲。下界も雲に覆われているので遠くの雲さえなければきれいな雲海が見えたことだろう。
 とりあえず手早くマット類を撤収し、かすかな期待を抱きながら日出の見える場所へ移動。
 日出の時間は過ぎたが空は紅く染まりさえしない。どうやら今日もダメだ。ここ数年で一度も朝焼けが見られなかったのは初めてかもしれない。
 駐車場に昨日の夜からいるタクシーを発見。運転手が運転席で居眠りしている。ナンバープレートを見てびっくり。なんと足立ナンバーだ。こんな所までタクシーで来て、朝までまたしておくとはいったいどんな人が乗ってきたのだろうか。

 小舎に戻り、朝食まで短い仮眠。起こされたときはちょうど眠りに落ちたタイミングで頭の芯がぼーっとしている。
 夕食の時は6人だった宿泊客も今朝は5人しかいない。一人はもう出発したのだろうか。
 あいかわらず品数が多い朝食。今日はダメだ。全部食べることが出来ない。
 朝食後、支払いを済ませてから再び布団の中へ。お昼頃まで寝かせてもらうことになっている。本来なら掃除や布団干しなどしたいところだろうが、いつもわがままを聞いてもらっている。

 11時頃に目を覚ました。まだ寝足りないはずなのにすっかり目がさえてしまった。もう一人はまだいびきをかいているので寝かせて置くことにして少し小舎の周りを歩いてくることにする。
 今日は何だか暑い。下界へ降りる日に暑くなるとはちょっとついてないかもしれない。
 鳥子平へ向かう道の途中から湿原の向こうにある吾妻小富士を写真に撮ったりして小舎に戻るともう一人も起きてきた。
 「さて、そろそろ行きますか。」と、いうことで雅子さんに挨拶に行くと、「コーヒーを淹れているからちょっと待って。」
 雅子さんのコーヒーはとてもおいしいのでもちろんお言葉に甘える。なんだか自分の田舎へ帰省して、また家へ帰っていくような気分になる。
 別れを惜しんでいよいよ出発。今年は8月にまた来るのだが、なぜか後ろ髪を引かれる。

 昼食は今日もレストハウス。なぜかいつも最終日になると下世話なものが食べたくなってくるのでハヤシライスを注文。今日はガラガラだ。
 駐車場には林間学校か何かだろうか。中学校の貸し切りバスが何台も停まっている。制服姿の集団も見える。
 昼食を済ませると、恒例の土産あさり。ここはとにかくまともな土産が豊富だ。しかも毎年何かしら新しい物が入っている。
 今年の新顔はカレーの缶詰。猪苗代湖のほとりにある翁島荘という国民宿舎の缶詰らしい。その名も「天鏡閣ケレー」。天鏡閣は猪苗代湖湖畔にある有栖川宮威仁親王の別荘だ。
 このカレーは明治時代のカレーを再現した物らしい。福島県は県をあげての観光資源の開発に熱心だ。ちなみにこのレストハウスも県営だ。2種類あるのでとりあえず試しに買ってみる。もしおいしければ8月に来た時に大量に買って帰ればよい。今回はあまりここに来るのを知られていないので特に土産は必要ないのだ。

 さて、明日は仕事だ。あまりのんびりしてはいられない。そろそろ出発せねば。
 去年は山を下りる途中で小猿の群を見かけたが今年は見あたらない。元気でいるのだろうか。そう言えば、餌付けをしないようにという注意書きがあった。
 帰り道はとにかく空いている。ひたすら順調に高速へ。しかし、東北道はなんだか流れが悪い。渋滞というわけではないのだがやたらと車が多く、走行車線は90Km/hぐらいで流れている。東北道は宇都宮あたりまで結構アップダウンがあるのでこの中途半端なスピードはとても走りにくい。下り坂では前の車に追突しそうになる。このペースではいつも渋滞する那須あたりはやばそうだなと思っていたが、意に反してそのままのペースで宇都宮へ。ここからは3車線になるので当分渋滞はなさそうだ。
 昨夜、望遠鏡を動かすのに車のバッテリーを使ったため、ガソリンの減りが早い。気が付くと家まで帰り着けるか微妙な情勢。案の定、栃木を過ぎたあたりで残量警告が点灯。なんとか帰れるような気はするものの、こんなことに賭けても仕方がないので佐野S.A.で給油することにする。
 S.A.そのものは空いているのだがなぜか給油所の前には長い車の列。なぜだろうと思ったらすぐに理由が判明。やたらと誘導が悪いのだ。アルバイトとおぼしき若い店員があふれるほどいるのだが、ちっとも機能していない。正社員らしき人も何人かいるのだがアルバイトを教育しようと言う素振りもない。だいぶ時間をロスしてしまった。
 気を取り直してまた本線へ。しばらくは順調だったのだが東京に近付くにつれ車が増えてくる。そしてとうとう渋滞の表示。久喜インターの先から詰まっているらしい。僕が降りるのは久喜のひとつ先の岩槻だが、どうもスムーズには行けそうにない。意を決して久喜で降りることにする。
 ひとつ手前とは言え、春日部方面へショートカットする道があるためそれほど遠回りではない。気が付くと浄土平を出てから4時間弱で春日部まで来てしまった。
 ちょっとお茶しながら精算しようと言うことでファミレスに入ったのだが、メニューを見ているうちに夕飯を食べたくなった。外は明るいもののもう17:30だ。少し早いが食べてしまおう。そうすれば家に帰ったらすぐに寝られる。

 夕食を済ませ、同行者を春日部駅で見送って、一路家路に。
 家に着き、車から荷物を降ろしきったところで力尽きる。酒を一気にあおって寝床へ直行。
 さて、来月はどんな星見行になるのだろうか。

星日記・了


星日記・2日目
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