星日記

2001年7月20日〜7月22日

福島県 浄土平


・7月20日(金)
 いつものメンバーとの浄土平行きの計画が進む中、日頃のストレスから急に一人で行きたくなった。
 とりあえず、いつものメンバーとは8月に行くことにし、この3連休を利用して単独行を計画した。
 いろいろと調整していたが、8月のほうに参加できない1名を同行することにし、はじめて男二人で浄土平へと向かう。
 昨夜を含め、今週は終電続きのためまったく準備ができていない。9時に起きて大慌てで積込みをはじめる。
 今年は例年になく荷物が少ない。何故かなと思うと、いつもは他のメンバーのための荷物が多かったことに気づく。

 12時に同行者到着。すぐに出発する。
 今回は昨年末に買った望遠鏡の初遠征だ。電源が無いと使えない機種のため、行き掛けに予備のバッテリーを購入する。はたしてこれで足りるかどうか。
 3連休初日ではあるが東北道はそれほどひどい渋滞は無い。お約束の大谷バス停付近の渋滞を除けばきわめて順調だ。
 5時を少しまわったころ吾妻小舎に到着。今回は決まったのが直前だったため予約をしていない。夕食なしは覚悟していたのだがご厚意で夕食にもありつくことができた。

 今日の宿泊者は30人程度。満室ではないものの最近来たなかではもっとも混雑しているぶるいだ。もっとも、以前は70人なんていうこともあったので最近は少しさびしくもある。
 夕食のメインはアスパラとチーズの春巻。春巻は山菜オムレツと並んで管理人さんの奥さんである雅子さんの定番料理だがアスパラは初めてだ。毎度毎度のおいしいアイデア料理は山小屋の食事とは思えない。僕をはじめとして料理目当てでこの小屋に 毎年通ってくる人の多いのもうなづける。そのほかにも山菜料理など食べ切れないくらい。

 食事後、一休みしたあとで空を見ると薄いガスがかかっているものの、どうにか晴れそうな雰囲気。例年この時間は曇か雨が降っていることが多いので期待が持てる。ちょっと星を見てみたいと言う同室の山屋さんを連れて3人で観測場所の浄土平レストハウス駐車場にむかう。
 駐車場に着いてみると、思いの他ガスが濃いい。かろうじて夏の大三角形がガスを通して見える。去年まで使っていた望遠鏡であれば北極星が見えなければ全くセッティングができないところだが、今度の望遠鏡、MEADのLX−200/25は名前のわかっている明るい星が2つ見えれば精密なセッティングができる。最悪ひとつだけでも概略のセッティングは可能だ。
 ところがセッティングをはじめると、それまで見えていた星たちが次々とガスに隠されてゆく。南の低い空に火星だけは赤々と輝いているのだが火星はセッティングの対象の星ではないので使えない。同室の人を待たせているのでちょっと焦る。
 そうこうしているうちにまた晴れてきたのでセッティングを済ませる。同室の人はあまりの巨大な望遠鏡にびっくりしている。どうも望遠鏡の値段を誤解しているようだ。
 とりあえず高度が下がらないうちに火星を導入。ところがやたらと気流が悪くメラメラと燃えるように動き回っている。模様はまったく見えない。早々にあきらめ、こと座のリング星雲、M57を見る。コントローラーに「M57」と打ち込むだけでものすごい音を立てながら望遠鏡はM57の方向へ。200倍近い倍率にも関わらず一発で視野に入ってくる。うーん、さすがに自動導入装置付きの望遠鏡は楽だ。
 同室の山屋さんが小舎に戻ったとたん、空はきれいに晴れ上がった。もう少し待ってれば良かったのに。
 LX−200/25には見易い星雲星団を順番に自動的に導入してくれる機能が付いている。自宅前では空が明るくてこの機能を使ってもほとんど見えるものがないので使うのは今回が初めてだ。
 いやぁ、びっくり。こんなにいろんなものが見えるのか。今までは自力で導入しなければいけないので最初からあきらめていた星雲・星団たちがとにかくよく見える。望遠鏡が大きくなったせいもあるが、今までの望遠鏡でも見えたのではないだろうか。それにしてもこんなに自動導入の望遠鏡が便利だとは。もう少し早く買えば良かったなぁ。
 しばらくしてそばに停まっていたキャンピングカーの家族連れがやって来た。いろいろ見せているうちにまた曇ってしまった。
 しばらく晴れそうにないので酒でも呑みながら晴れるのを待つことにする。

 やがて晴れてきたのでキャンピングカーの家族を呼んできたが、どうも見えが悪い。筒先を覗いてみると補正板(薄いレンズのようなものだ)がすっかり曇っている。夜露にやられたようだ。このタイプの望遠鏡は夜露に弱いと聞いてはいたがこれほどあっさりと曇るとは。傷を付けないようにそっとティッシュで拭きあげる。
 このご家族も望遠鏡の値段を誤解しているようなので、
「いくらぐらいすると思いますか?」
と、聞いてみると
「200万じゃ買えないですよね。」
ぷぷ。200万で売っちゃおうかな。
「そんなにしませんよ。40万ぐらいですよ。」
すると、奥さんが旦那さんに向かって
「なぁんだ、あなたのお小遣い、しばらく我慢すれば買えるじゃない。」
旦那さん、絶句!

 ご家族連れが車に引き上げしばらく見ていると、なんだか望遠鏡が怪しげな音を立て始めた。気が付くと勝手に動いている。架台についている電流計を見ると、LEDが激しく点滅している。バッテリーを見ると要充電のランプが。
 え?まだ3時間ぐらいしか使っていないのに。高速駆動の自動導入を激しく使っていたためだろうか。
 初日にして2つ目のバッテリーに交換。さてさて、明日はどうしようか。とりあえず車のエンジンをかけ充電を始める。

 2時ごろになると、日頃の疲れが出てきたのか無性に眠くなる。とりあえず、シュラフに潜り込んで流れ星を見ることにする。
 そうこうしているうちにいつの間にか眠り込んでしまう。



星日記・2日目
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