台湾日記・3日目

2001年3月14日〜3月16日



ご注意!
今回に限り絶対にお食事時に読まないでください。
いえ、どうしてもというのなら止めませんけど...責任持ちませんよ。

・3月16日(金)
 む?胃のあたりの妙な違和感で目が覚めた。
 体を起こしたとたん一気にこみ上げてきた。思わずトイレに走る。げ!全然消化していないぞ。これはやばい。昨日はほとんど酒を呑んでいないので明らかに食べすぎだ。時計を見るとまだ4時。もう一眠りしよう。出発までに落ち着くだろうか。
 今日もひっきりなしに目覚ましが。そのたびにトイレに駆け込む。こりゃだめだ。今日は朝食は抜こう。部屋にはフルーツバスケットも置いてあるのだがとても繊維質を取れそうな気はしない。
 相当にやばそうな状況だが、とにかくチェックアウトをしなければならない。ふらふらしながら荷造りをしてフロントへ。今日はパソコン2台を入れたリュックがとても重い。
 精算を済ませ、他のメンバーを待つ。すると最初にやってきたメンバーもムカムカして朝食が食べられなかったという。やはり食べ過ぎか。どうやら他の二人は無事なようだ。

 帰りの飛行機は16:15なので午前中は仕事だ。胃の調子が悪い上に頭痛までしてきた。おまけに寒気がする。熱が出てきたのだろうか。幸い今日は僕が担当の部分はあまり多く無いので助かる。昨日だったら仕事にならなかったろう。
 先方に社長と一緒にお昼をどうですか?と誘われたのだがとても食べられる状態ではない。他のメンバーも同様なようで「早めに空港に行ってそこで食べますから。」と丁重におことわりした。

 仕事は終わったが、どんどん具合は悪くなり、空港行きのリムジンに乗ったとたんに眠ってしまう。
 思いのほか道が空いていたらしく、空港に着いたときはまだチェックインが始まっていなかった。始まるまでにまだ40分ぐらいある。先に食事しようと言うことになり2階に上がる。
 この空港はあまり食べるところが無い。最初に見つけたのは点心の店。さすがにこれはにおいをかいだだけで気分が悪くなる。しばらく探したが洋食・和食系の店はなく、仕方無しにもう一軒の中華系の店に入る。
 ここはカフェテリア方式で自由に選ぶことが出来る。お粥を探したのだが、どうも妙にねっとりした感じのお粥しかない。しかたなくカステラのようなものとなんだかよくわからないペットボトルのお茶を買う。しかし、固形物はまったく胃が受け付けない。そのうちまたこみ上げてきたのでトイレに駆け込む。まずい。下痢まで始まった。

 時間が来たのでチェックインしようと立ち上がる。と、またまたこみ上げてきた。みんなはどんどん先に行ってしまうのでやっとの思いでこらえて後に続く。
 少しでも楽に座れるようにと4人は別々にチェックイン。全員通路側が取れた。まだまだ時間があるので出国審査を受ける前に免税店に寄る。しかしどうにもふらふらするのでおみやげを買うのをあきらめて椅子に座っていることにする。修学旅行(?この時期に?)のような女子高生の集団がそばにたむろしていたが、高い声が頭に響いてがんがんする。意識がもうろうとしてきたところでみんなが戻ってきたので出国審査へ。
 審査が終わってターミナルへ向かう途中でみんなはコーヒーが飲みたいと言い出した。今は水分をとるとすぐに吐いてしまいそうな状況なので一人だけ外で椅子に座って待つ。そうこうしているうちにまたこみ上げてきてトイレへ。これはかなり重傷だ。はたして無事に帰れるのだろうか。

 うつらうつらしつつ、やがて搭乗の時間となったが気分はいっこうに良くならない。
 食事はおろか、飲み物も飲めそうにないので毛布をもらうやいなや、「眠るので飲み物も食事もいらないから起こさないで欲しい」と頼む。
 熱があるのかだんだん関節が痛くなってくる。眠ろうとするのだが体中が痛くて眠れない。帰りの飛行時間は2時間半と短いのがわずかな救いだがはたしてそれすらも耐えられるかどうか。この体調をスチュワーデスに知られたらおろされて強制入院させられてしまうかもしれない。とにかくひたすら寝たふり。それにしても水分をとっていないため脱水状態。エコノミークラス症候群が心配だ。
 体調が悪いとひたすら時間が長く感じる。毛布一枚では足りないほど寒気がする。関節の痛みもどんどんひどくなる。
 「ああ、もうだめだ。スチュワーデスに頼んでビジネスに移してもらおう」と思い始めた頃、やっと飛行機は成田へ着陸。激しいバウンド。今日のパイロットはへたくそだ。早く機体の外に出たいのだがなかなか飛行機は止まらない。延々と地上を走っている。おーい、いったいどこまで行くんだぁ。おそらく10分程度のことだったのだろうがその時の僕には永劫の時に感じた。

 どこかでとがめられるかとびくびくしながら機体の外へ。背中のリュックがとても重い。シャトルに乗り入国審査へ。本来なら健康相談室に行かなければいけない状態なのだろうが、とにかく一刻も早く家に戻りたい一心だった。しかし、あっけなく審査をパス。ふーん、こんなに死にそうな顔をしていても別に引き留められないんだ。
 思いのほか荷物も早く出てきたので他のメンバーと別れ、駅に向かう。
 とにかくひどい脱水状態になってきたのでポカリスエットを買うことにする。ここまで来たらトイレに駆け込んでも誰もとがめないだろう。
 駅について時刻表示を見ると、特急は行ったばかりのようで次の列車まで30分近くある。その前のスカイライナーで日暮里まで行ったほうが早く帰れそうだがこれだけの荷物を抱えて日暮里からの常磐線と北千住での乗換に耐えられそうにない。特急を待つことにしよう。
 最初は空いていたホームだが、しばらくするとどんどん人が増えてきた。これでは座れない。あわててベンチから立ち上がりホームに並ぶ。
 電車が来るまでにはまだ10分ある。この10分がやたらと長く感じる。もうろうとした意識の中、台湾のどこかで聴いたメロディーが壊れたレコードのように頭の中を駆けめぐる。何だっけなぁ、この曲。ああ、いろいろやり残してきたことがあるなぁ。短い人生だったなぁ。独身のまま死にたくないなぁ。あれ、どうしてこんなこと考えているんだろう。ふと我に返ると電車がホームに滑り込んできた。

 ぎりぎりで座ることが出来た特急は各停への乗り換え駅の青砥まで約1時間。ひたすら眠る。さっき飲んだポカリスエットはおとなしくしている。どうやら胃の方は落ち着いてきたようだ。しかし体の痛みと寒気はいっこうにおさまらない。
 青砥に到着。しかし次の各停までは10分ぐらいある。うーん、今日は本当に待ち時間が長い。やっと来た各停で約10分、東武への乗換駅の関屋に向かう。

 関屋で東武に乗換。東武の牛田駅は駅名は違うものの狭い道を挟んで向かい側。いつもスカイライナーを使わずにこのルートを使うのはとにかく荷物を持っての移動距離が短いからだ。
 しかし今度は東武の電車が来ない。上りの電車が2本行ってもまだ来ない。15分ぐらいしてやっと電車が来た。この時間でこんなに電車の間隔があくのは珍しい。運が悪いとしかいいようがない。あれ?そうするとこの飛行機で帰るといつもこうなのか?
 やってきた電車は満員というわけではないが座ることは出来ない。平日の金曜日ではこれは仕方がない。次の北千住からは超満員になるはずなので、とにかく荷物を網棚に上げなければ。それにしてもリュックが重い。体力が弱っているのでなかなか持ち上がらない。危うく落とすところだった。
 思った通り北千住からはぎゅうぎゅう詰め。越谷あたりまではこの状態が続く。せんげん台で各停に乗り換えるまでの30分は座れない。
 草加を過ぎたところで社内放送が。なんだか聞きづらいが良く聞くと、
「なお〜、越谷、せんげん台での各駅停車への乗り継ぎはございません。あらかじめご了承下さい。」
なにぃ!そんなダイヤあるのかぁ?なんだかとことんツイていない。こりゃ新越谷で各停に乗り換えなければ。やれやれ、また帰りが遅くなる。
 新越谷でも各停は待っていなかった。結局5分ぐらい待つことに。なんだよぉ。草加で乗り換えなくちゃいけなかったんじゃないか。先に言えよぉ。

 やっとの思いで武里へ。駅からはとても近いのだが今日はとにかくふらふらして時間がかかる。
 なんとか家にたどり着き、震える手でなんとか鍵を開ける。そして、暖房を全開にしてこたつに潜り込む。
「ああ、生きてた!」


台湾日記・了



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