星日記

2005年7月30日〜7月31日

福島県 浄土平


・7月30日(土)
 今日から夏休み。昨夜、前にいた部署の人の送別会で終電まで呑んでいたので眠い。今年は現地集合のため一人なので気が楽。浄土平の後、気の向くまま温泉巡りをする予定なのだが準備がまったくできていない。着替え類を数も数えずに鞄に詰め込み出発。ちょっとはっきりしない空だがとりあえず晴れている。キタムラでフイルム類を仕込んでインターへ向かう。
 夏休み中の土曜日なのに道は空いていてとても順調。最近はあまり飛ばさないのでのんびりと走る。
 いつもは東北道から磐越道、磐梯熱海、母成グリーンライン、磐梯吾妻スカイラインと走るのだが、今日は何だか長い山道を走る気にならい。やや遠回りになるが、福島西インターまで東北道を行き、一般道経由で直接磐梯吾妻スカイラインへと向かう。途中、無性に眠くなって安達太良SAで一眠り。
 郡山をすぎたあたりから何だか雲行きが怪しくなって来てはいたのだが、スカイラインへ入る手前あたりでいきなり大粒の雨。あっという間にバケツをひっくり返した状態になった。こうなると標高の高い所を走るスカイラインは雨雲の中。ほとんど前の見えないスカイラインを走ることになる。憂鬱な気分で山道を走り続けたが思いのほかガスはひどくない。浄土平へ着いた頃は意外にも雨は小降りになっていた。

 スカイラインから吾妻小舍の方へ降りようとすると、小道の入り口が関係者以外立ち入り禁止になっている。仕方なしに降り口にある兎平の駐車場に車を停めるが、やたらと工事車両が多い。まさか吾妻小舍が工事しているんじゃないだろうなと少々不安になりながら、徒歩で小舍へ向かう。
 以前はぼこぼこの道だったのがきれいに舗装されている。どうやら工事しているのは吾妻小舍の手前にあるキャンプ場。途中は工事車両で道を塞がれ管理棟もつぶされていて更地になっていた。木々の間から見慣れた小舍が顔を出し、なんだかほっとする。

 まずは管理人の遠藤さんにご挨拶。他のメンバーはまだ着いていないので、遠藤さんに入れていただいたお茶を飲みながら一休み。
 ほどなく他のメンバーも到着。女王様1号とそのスキー仲間の一団6名だが、今年は小学生も一人参加。最近、この小舍には若い人があまり来ないと思っていたが、一気に若返る。他にも珍しく山登りに来た若いカップルの姿も。
 夕食の頃になると、また大粒の雨が降って来た。この場所は早い時間帯に天気が悪くても、夜中に晴れることが多い。しかし今年はどうにも疲れがたまっていて、それまで待つ気力がない。アスパラの春巻きなど、いつもながら山小屋の食事とは思えないおいしい夕食を食べながら、すっかり宴会ムードになって来た。雨がやまないので部屋に戻ると早々に酒盛りの開始。今年は山屋さんたちとは隔離された別室を与えられているので安心して呑み始める。

 吾妻小舍は自家発電のため9時消灯。それ以降はランプとなる。ランプを持って別室にやってきた遠藤さんが「何だか星が出て来たよ」の一言。外へ出てみると本当に雲間から星が顔を出し始めていた。結構酔っぱらっているのでいつもの浄土平駐車場への移動はあきらめ、車をおいて来た兎平駐車場で星見の準備。まだ雷が鳴っているので望遠鏡を出すのは見合わせ、マットを敷いて流れ星モード。そして酒盛りの再開。まだペルセウス座流星群の極大までは2週間近くあるのだが明るい流星が結構ひんぱんに流れている。まだペルセウス座が昇って来ていないので関係のない流星のようだ。
 ぐんぐん雲は晴れて来て、やがて雲と見まがう見事な天の川が空を横切り始めた。まだ遠くで雷鳴は聞こえているが、とりあえずしばらくは大丈夫そうなので久しぶりに望遠鏡を組み立て始める。地図の銀行マークのような形をしたこぎつね座の亜鈴状星雲M27、タバコの煙で作った輪っかのようなこと座のリング星雲M57、ヘルクレス座の球状星団M13、おおぐま座の子持ち銀河M51/52等を次々に視野に入れる。初めてのメンバーには球状星団のM13が評判が良い。密集した星々は比較的低倍率でも星の集まりだとわかるが高倍率にすると迫力満点。散光星雲や系外銀河はやはり写真のようには見えないのでそこそこの反応だ。本当なら冷却CCDカメラを出せば色まで見てもらえるのだが、相変わらず雷鳴が聞こえるのでパソコンを出すのはちょっとためらわれる。
 一通り星雲星団を見た後は定番の二重星。オレンジと青の対比がきれいなはくちょう座のアルビレオ、黄色と紫色のアンドロメダ座γ(ガンマ)星は気に入ってもらえたようだ。
 ここ数年、一人でくると晴れるのだが、大人数で来た時はいつも天気が悪くほとんどまともに望遠鏡で星を見られなかった。今回は久々にじっくりと見せることが出来た。本当は夜半過ぎに昇ってくる月も見せるつもりだったのだが残念ながら日が変わる頃には完全に曇ってしまった。また雷鳴が近づいて来たので店じまいし、部屋に戻ることにする。

7月31日へ続く


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